プロデュース、人材育成、文化形成について思うこと


2013年も師走になりました。
今年はMORGにとってとても充実した作品、アーティストを手がけることができた年になりました。

公開できない情報も多いのですが、来年には更に色々といいお知らせができると思います。

10月頃から色々思うことがあり関西のインディーズ、アマチュアシーンをもう一度色々リサーチする意味で
今月はライブハウスにも多く足を運びました。
ブッキングライブや大箱以外のライブハウスは久しぶりでした。

今から約2年前に更なる技術向上と意識向上、一線で活躍される業界の先輩方とのセッション、交流など
関西のインディーズ、アマチュアバンドのことは一旦一切忘れて、依頼も紹介制にしました。
結果、素晴らしいアーティスト、バンドに関わることが出来、多くの人材が上京したり、何らかのキャリアを
残しています。

その中にはそれこそライブハウスに通い、自身で大きなイベントまで行って、ライブという観点では
非常に頑張っているという評価を得ているアーティストもいました。
しかしその先となると不透明で、非常に疲れているようにも見えました。

その時期くらいからマスタリングなどでお手伝いはしていたのですが、お世辞にも録音状態は良くなく、
後に頂いたパラデータでも歪んでいたり位相が狂っていたり、そもそも録り音が細かったり、
なかなかに酷い状態が確認できました。

その後送ってくれた宅録の新曲デモが素晴らしく良くて、それをきっかけに楽曲提供などへの興味が無いかを
聞き、新たに楽曲を書いてもらい、それを持って先輩に引き合わせたところから才能が発掘されました。
現在は自身の活動と楽曲制作をバランスよくこなしつつ、向上心を持って日々を過ごしているようです。

ここで何が言いたいかといいますと『アーティストの出口はライブハウスだけじゃない』ってことです。

関西はやっぱり特にライブハウス中心の文化と思います。
これに関しては2011年の12月、つまり2年前に書いた記事を参照ください。

http://morg.jp/xxx/0024.html

加えて、何年かぶりにインディーズ、アマチュアのCDを何枚か聴いてみたんですが、これがやっぱり酷い。
それこそ先述の状態のものや、リミッターがうまくかけられていないために常時リダクションされてサビ頭でも
全くアタックが無いなどなど、こんなの納品したら普通は二度と仕事は来ないようなものが多すぎました。
毎日別のバンドが、しかも日数も無く、ノウハウも無いんだとは思いますけど、これはもはやレコーディングと
呼べるのか?エンジニアって名乗ってるのも大丈夫か?っていうことを感じました。

筆者門垣は関西圏でエンジニアと名乗る事を躊躇し、代表と名乗ってきましたが、今回更に抵抗が出ました。

自分が思うエンジニア、先輩方が名乗っているエンジニアと先述のCDを作ったエンジニアとは断じて別物です。

また、自身の活動はサウンドエンジニア以外の部分の仕事も多く、武田加入によりよりその頻度が増えました。
その上でエンジニアと名乗ると逆にイメージから自身の発言の範囲、行動の範囲を狭められてしまうため、
今回『プロデューサー』という肩書きを追加させていただきました。

こうしてコラムを書いてきましたが、これもエンジニア以外の活動の一つです。

プロデューサーという仕事の内容は色々ありますが、それに付随する自分の仕事の一例を挙げると、

:HOOKUP RECORDSの設立に当たり、草稿から具体的な業務内容、経営戦略、経営指導、予算算出、
 予算確保、現場施工(及び施工の手配)。

:企業、アーティストの業務に関する紹介など。(イベント、制作、楽曲提供、アレンジ等)

:レコーディングにおける各種人材の手配及び実務、学校、スタジオでの講義。

などが挙げられます。

ライブハウス中心の文化で思うことは多くあり、例えばバンドマンが仲間のバンドをレコーディングするとか、
凄くいいことと思います。
ただ、そこでエンジニアと簡単に名乗れてしまうのがややこしいわけです。
関西にはオリコンチャートに作品が入るようなプロのエンジニアは数名です。
つまりはそれ以外のエンジニアはともすればバンドマン兼エンジニアと世間的に大差ないんです。
(素人からすれば逆にプロのエンジニアとその他エンジニアも総じてプロのエンジニアなんでしょうし。)

ちょっと言い過ぎじゃないかって感じもしますが、結局ちゃんと売れているないし世間様に認められている
方々と作業が出来ないようでは技術もノウハウも蓄積できません。
先輩方は超有名でもほんとに毎日研究、修行してますから。

このあたりは2012年の記事を参照ください。

長くなりましたが、ここ数年のこういった草の根活動も先輩方の手助けをいただけたり、才能ある人材が
MORGに訪れてくれたり、紹介していただいたりで少しづつ手ごたえを感じられるようになりました。
こうしてコンスタントにいい人材を育成、発掘していければ結果業界に恩返しできると思いますし、
大きく育ったアーティストとともに関西の音楽シーンの文化形成にいい効果を持ち帰れればと思います。

人材育成にはライブ経験だけではなく、ちゃんとしたレコーディング(アレンジ、プリプロ、ディレクション)
を経験させることは不可欠です。
それを体現できる場所、人材を今後もMORGは育てて行きたいと思います。