東京と関西に見るレコーディングスタジオの立ち位置


2011年現在、都内や郊外型の多くの大型スタジオが閉鎖しています。
時代の流れや製作機材、製作環境、製作の予算等様々な事が大きく変わっているのが現実です。
ただ、大型スタジオといってもそれは地方にあるそこではちょっと有名なスタジオみたいな話ではなく、
その存在意義や、音楽シーン形成における立ち位置が全く異なる点が顕著になって来ましたのでまとめてみます。

都内など歴史ある大型スタジオは数多くのアーティスト、プロデューサー、ディレクター、エンジニアが出入りします。
当然ながらレコード会社の人間や、放送局関係者も出入りしますので、こういった大型スタジオにはまさに音楽業界の中枢を
担うような人間関係や多くの交流を生み出しています。
例えばそれが同じ事務所内のエンジニアの技術交流であったり、プロデューサー、ディレクターの手腕を垣間見れる、
技術面においても非常に純度の高い向上と新たな音楽のアプローチを生み出せる場となっているように思います。

ところが、これを関西に置き換えると状況は一変します。
まず、第一にそういった大型スタジオが存在しないからです。
(正確にはGIZAのスタジオがありますが、自社アーティスト及びレッスン使用なので除外)
もちろん今でこそ関西在住のメジャーアーティストも居ていますが、業界は東京中心ですので当たり前といえば当たり前です。

これだけの比較だとまあ当たり前なのですが、では関西ではそういったプロデューサーやディレクター、エンジニアと
どこで出会えばいいのかって話になりますが、これまたほぼ居ません。
関西在住でコンスタンスにメジャー会社が絡む案件をこなし、結果を出している人間となると数名です。

こういった状況により、レコーディングで多くのことを学び、沢山の人間と知り合う機会を得るというのは関西では困難です。
もちろん地元のそこそこ有名なスタジオならば、地元のそこそこ有名な人との交流は生まれますが、ここで言う交流は
誰でも知っているようなプロの人間のお話です。

これらの結果として、リハーサルスタジオやライブハウスがこれらのポジションにあるのが現状と思います。
ライブハウスの人間がレコーディングのディレクションに来る事がそんなに珍しくないのはなかなか不思議な事と思います。
もちろん、メジャーで活動し、様々な上記まともな経験をしたバンドマンが経験を活かしてディレクションする場合もあります。
こういった人間もそんなに多くないのですが、時にはそういった経験が裏目に出るような場合もありますので難しいところです。

また、最近ではライブハウスがリハーサルスタジオに併設してレコーディングスタジオを作ることも多いです。
しかしながら正直これは相当に無理のあるスタイルであることは上記を読んでいただければ理解は難しくないと思います。

ライブとレコーディングは全く異なる行程で、必要なノウハウも異なり、また多くの良質な経験を積む事も不可欠ですので。

では、何故関西が特異かというと、大阪や京都などが大都市と思っている点にもあります。
大阪、京都といえば観光地でもあり、人口も多いので、例えば大阪最高のレコーディングスタジオ、京都最高のレコーディングスタジオ
といった謳い文句を見ると、「日本のスタンダードな最高レベルのところなんだな」って思うわけです。
が、それは大間違い。
そんなのまともな音楽業界の先輩や企業さんに言ったら失笑物です。

関西において今後最も重要なのはこれら失われたまともな音楽業界人との交流の復活と思われます。
どうあがいても音楽バブル時にまともな音楽業界の中心にいた方と同じような経験は今から経験できない事は誰でもわかります。
そういった経験をされた先輩方に学ばせていただきながら、微力ながら交流のお手伝いをしていきたいと思います。

具体的にはMORGに著名エンジニアを招いてのレコーディングや、東京でのレコーディングブッキング、
アレンジャーの手配など、関西在住アーティストがより視野の広い活動をしていけるように展開してまいります。nevess