低予算レコーディングとアマチュア録音の差異


前項ではレコーディングという行程にどのような人材が関わって、どのような役割を果たし、
どのようにそれらが絡み合っているかというようなことを書いてみました。

ではこの項では低予算で行うレコーディングと激安など、安いアマチュアの言うレコーディングとの
差異を絡めてレコーディングという作業の内容を書いていきたいと思います。

では低予算でのレコーディングから。

・予算削減のために人員を減らす。
 例えば楽器チューニングや調整を奏者が行う、ディレクターやマネージャーやエンジニアが兼任。

・予算的に大きなスタジオが使えないので用途に応じたスタジオを使う。
 例えば安くて用途に合ったスタジオに機材が無いなら必要機材を持ち込んだり、
 ダビング、歌入れなどをプライベートスタジオ、エンジニア所有のスタジオで行う。

ざっとこんな感じにコンパクトに説明できます。

ですが、逆に言えばこのくらいしか変わりません。
ただし、行っている本質や、最低限必要な環境及び機材の水準はこの後に書くアマチュア録音とは
異なります。妥協やクオリティーの低下とコスト削減は単純にはリンクしません。

で、アマチュア録音の場合。

ここでは多くの激安レコーディング、簡易レコーディングというサービスも含みたいのですが、
これらについてはまた別項で書きます。

・まず環境面でアマチュア環境です。
 たいていの場合環境に突っ込みどころがあります。(例えばProtoolsLEとか)

・多くの場合、 前述した突っ込みどころのある環境で日々作業を行うので、根本的にエンジニアとして
 必要な専門知識を学び、体験するという事に絞って考えてもスキルアップに限界があります。

・当然ですが一線のプロのレコーディングのようなプロ同士の刺激やノウハウの蓄積は皆無です。

これらのアマチュア録音や突っ込みどころのある激安レコーディングには上記をみただけでも、
本来レコーディングという行程に必要なノウハウが欠落というより蓄積できない状況であるとわかります。
ここには正直昔何してたとかというような話や、今まで何百バンドを録音したとか、何年やってるとか、
そういう話は無意味です。

プロとして音楽作品の制作に関わるのに必要な経験が詰めない場所で何年過ごしたところで
いきなりどこかでプロフェッショナルな域にレベルが上がるような事はありません。

これはクライアントに対してもそうです。
本質を理解していない、あるいは限られた環境下での経験しかない人物の作る音はやはりそれなりです。
知らない音は作れませんし、知らない経験は出来ませんし語れません。
センスと言うのはそんな簡単に磨けませんし、経験の違いは正直に音に出ます。

こういった事がわからないようであれば、下手をするとそもそも音楽をレコーディングするという事の
本質を勘違いしていると言ってもいいのかもしれません。

例えば草野球で軟球を使って毎日頑張って何年も修行したらプロ選手にになれると思います?

ほかの事に置き換えればものすごく解りやすいのに。

音楽は自由だ、好みだ、正解は無いなどと言うのは簡単です。
ですが、これら本質に関する事、音楽を作ってきた先人の歴史やスピリットを想像しても
簡単にそんなことが言えるほど音楽を軽々しく語ることが出来るでしょうか?

環境面から本質までざっと書いて見ましたが、次の項で激安レコーディングが本当に激安かという
テーマを交えて掘り下げたいと思います。